薬丸岳の『最後の祈り』!
キリスト教の牧師である保坂宗佑は、色々な罪で服役中の囚人達の教誨師でもある!
ある日、事情があっておじさんとして接していた妊娠中の実の娘が暴漢に襲われて死亡する!
その犯人には保坂の娘を含む4人を殺害した罪で死刑判決が下されるが、全く反省しないどころか、ふてぶてしい態度で死刑判決に対して「サンキュー」と高笑いをするありさま…
保坂と殺された娘の育ての母親は、どうにかして犯人を絶望の淵まで追いやって死刑執行のその日を迎えさせるかを考え、その犯人のいる拘置所の教誨師として犯人と対面をする!
いつ死刑執行の日がくるか分からないまま、保坂は犯人の心を地獄へと突き落とせるのか???
…
流石、薬丸岳、凄く良かったです!!
死刑囚と教誨師、それだけでもドラマになりそうなのに、教誨師は下心を持ってその死刑囚と対面する…
2人の心の動きがどのように変わっていくのか、先が待ちきれなくてどんどん読めてしまうけど、いつまでも読み続けていたい…って感じでした!
凶悪事件が起きると、ニュースやワイドショーなどで取り上げられ、大きな事件だと判決が出るとその先の報道はなし…
判決が出た時に犯人が反省していない…って話もよく聞きますが、囚われの身となって、色々と考える時間もたっぷりあって、この物語のように教誨師と接したり聖書の勉強をする人もいたりすると、もしかしたら心を入れ替えるかもしれない…
でも、だからといって死刑囚なら死刑の判決がでるような罪を犯したわけで、決して許されることではないから反省し始めたからと言って判決が変わるわけでも、被害者や被害者家族が救われるわけではないけど…
う〜ん、、、考えさせられるテーマ…
ただ、保坂が最後に犯人を地獄へ突き落とすような言葉をかけずに済んだことはホントよかった💦
1番救われたのは保坂だったかな?
死刑が執行されたあとの、被害者の育ての親、真里亜の心の中がいまひとつ分からなかったのは少し残念でしたが、お気に入りの1冊になりました!